章: 第1章: 環境の選び方と基礎知識
「どれを使えばいいの?」—— 選択肢が多すぎる問題
PHPを学ぼうと決めてまず検索すると「XAMPP」「MAMP」「Docker」「WAMP」「WSL2」……と、さまざまなキーワードが出てきます。それぞれ何が違うのか、自分にはどれが合っているのか、最初はまったくわかりません。
環境選びで迷っている間は、1行もコードが書けません。
この記事では、主な選択肢をOSと目的ごとに整理して「まず何を選べばいいか」を明確にします。
そもそも「PHPを動かす環境」とは何か
PHPはサーバーサイドの言語です。HTMLのようにブラウザが直接読み込むのではなく、PHPエンジン(インタプリタ)がコードを処理してからブラウザに結果を返します。
これを実現するために最低限必要なものが3つあります。
| 必要なもの | 役割 | 具体例 |
| PHP本体 | コードを解釈・実行する | PHP 8.2 など |
| Webサーバー | ブラウザのリクエストを受け取る | Apache, Nginx, ビルトインサーバー |
| データベース(任意) | データを保存・取得する | MySQL, SQLite |
「環境を構築する」とは、この3つをまとめてセットアップすることを指します。
OSと目的別の選択マップ
### Windowsの場合
| 方法 | 難易度 | 向いている場面 |
| XAMPP | ★☆☆ | 今すぐ試したい、GUIで管理したい |
| WSL2 + PHP | ★★☆ | コマンドに慣れたい、Mac環境に近づけたい |
| Docker | ★★★ | チーム開発、本番環境に近い構成が必要 |
### Macの場合
| 方法 | 難易度 | 向いている場面 |
| MAMP | ★☆☆ | 今すぐ試したい、GUIで管理したい |
| Homebrew + PHP | ★★☆ | コマンドに慣れたい、軽量に使いたい |
| Docker | ★★★ | チーム開発、本番環境に近い構成が必要 |
チェックポイント: 学習のスタートはGUIツール(XAMPP/MAMP)が最速です。Dockerは「環境を再現できることの価値」がわかってきてから学ぶと理解が深まります。
WindowsとMacで何が違うのか
PHPの文法やコードは同じですが、環境構築の手順には差があります。主な違いを把握しておきましょう。
| 項目 | Windows | Mac |
| 代表的なGUIツール | XAMPP | MAMP |
| ターミナル | コマンドプロンプト / PowerShell | ターミナル(zsh) |
| パスの区切り文字 | \(バックスラッシュ) |
/(スラッシュ) |
| パッケージ管理 | winget / Chocolatey | Homebrew |
| Linux互換レイヤー | WSL2が必要 | 不要(Unix系) |
| Dockerとの相性 | WSL2が必要(セットアップは複雑) | 比較的シンプル |
MacはもともとUnix系OSのため、Linux系の操作に慣れやすいという特徴があります。一方Windowsは、WSL2を使うとMacに近い操作感で開発できるようになります。
PHPのバージョンをどこで確認するか
環境を構築したら、まず次のコマンドで動作を確認します。
php -v
出力例:
PHP 8.2.12 (cli) ...
8.2 のような形式でバージョンが表示されれば、PHPが正しくインストールされています。このコマンドはWindowsでもMacでも同じです。
まとめ & 次のステップ
- PHP実行には「PHPエンジン」「Webサーバー」「データベース」の3点セットが必要
- Windowsの入門はXAMPP、Macの入門はMAMPが最短の選択肢
- WindowsはWSL2を使うとMacに近い開発体験になる
- コマンドラインに慣れてきたらDockerへ進むのがおすすめ
次回はWindowsユーザー向けに「XAMPPのインストールとセットアップ」を解説します。インストーラーをダウンロードしてから、PHPファイルが動くまでの手順を実際の画面の流れに沿って進めます。